テーマ 80 自部署を運命共同体とする
■会議を運命共同体形成の場として活用する
徳川家康は、幕閣を集めて、敵に勝つための作戦会議を開くときは、
結論を持っていても、決してそれを、口にはしないで、
幕閣たちに考えさせて、幕閣たちに、言わせたといいます。
幕閣たちは、結論を得るために、いろいろと策を練ります。
この当時は、戦いに負けると殺されてしまうので、
自分たちが勝つために必死に考えます。
この考える過程の中で、一体感が生まれ、
運命共同体をつくることができるとのことです。
ドイツの心理学者クルト・レヴィン氏の研究に、
食習慣の変革に関する実験というものがあります。
その内容は、下記のようなものです。
(1)講義や個人指導により新しい食習慣について
正しい情報が多量に注入されても、
新しい食習慣を実行する人は少ない。
(2)集団で会合を持って討議したグループは、
そのほとんどが、新しい食習慣を実行した。
集団決定方式がメンバーの態度変容をもたらしたのは、
@討議の過程においては、いろいろな意見や情報や知識を得て
視野がひろくなり内容が実行可能なものとなり、
その決定を参加したメンバーが受容することによって
実行に踏み切っている。
A集団決定に参画したという意識が、実行しようとする
主体的意欲を高める。申し合わせの結果は、
個人の恣意にゆだねられるものではなく、
それを実行させるような一種の強制力ともなり、
集団決定は、その決定に参画した人々の
それを達成しようとする意欲を刺激する。
上記のようなことから、管理職者は、会議を活用することによって、
担当部署を運命共同体とすることができます。
部下と会議を行うときは、どんな会議においても、
まず、自分の考え、結論を持って、望むことが必要です。
自分の持つべき考え、結論は、当然、担当部署の成長発展、
個人の成長発展のためのものでなければなりません。
そして、その考えは、部下に発言してもらうように、
会議を誘導するということが重要です。
部下は、自分が発言した内容が決定されると、
自ら責任をもって行動するようになります。
そして、部署全体が、管理職者を中心とした運命共同体となります。
■考えて仕事ができるようになるために、
なぜこのような手順やマニュアルになったのかを教える
部下の方に対して、
「マニュアルや手順書を示して、
いくら教えても実際に行わせてみるとできない、
応用がきかない」
などの相談を管理職者の方から聞かれることがあります。
今あるマニュアルや手順書は、
過去のいろいろな失敗や工夫の積み重ねでできあがったもので、
その内容は、効率のよい仕事の方法や
最終的なノウハウが記載されたものと思います。
しかし、最終的に確立された仕事の手順や
マニュアルだけを教えても、
そこに行きつくために失敗したこと、工夫したこと、
考えたことなどを教えないと
その仕事の本質的なことが分からず、実際に仕事を行ってみると、
マニュアルや手順書に記載されている
ちょっとした要件の違いなどで、
仕事ができないということになってしまう場合があります。
部下の方に仕事を教える際には、
「なぜこのような手順やマニュアルになったのか」など、
この仕事の本質は何なのか、
何を伝えなければならないのかということを、
よく考えた上で教えることが重要です。
仕事の基本は、考えて考えて改善し、
より良いものを効率的につくりあげることです。
マニュアルや手順書はそのための一助ということを
部下の方に理解させることが重要です。
■各メンバーが自ら考えて、自ら実践することが強い部署となる
軍隊においても、常に変化し、
予測不能な対テロリスト戦では、
細かい指示を出してコントロールするほど
死ぬ確率は高くなるといいます。
細かな指示通り仕事を行ってもらうという
局面も当然ありますが、
仕事は、自ら考えて、自ら実践し、
達成していくところに成長や喜びがあるのも事実です。
部署の長たる管理職の方は、部下の方が
成長や喜びを感じることができる
仕事の環境、仕事の方法をつくってあげることが重要です。
これが、運命共同体といえる強い部署をつくります。
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